先月中旬、森林ボランティアの活動に行ってきました。
今回は管理に必要な遊歩道の下ごしらえ。
行政との打ち合せのもと、篠竹や灌木(かんぼく)の伐採が主です。
今回ここで言う「灌木」とは、
背の低い常緑広葉樹あるいは照葉樹と呼ばれるものです。
常緑広葉樹はその名の通り、一年中葉を茂らせるため、
この地域で放置しておくと、他の樹木が育たず、
いずれは常緑広葉樹林(陰樹林)になると考えられます。
あのアニメ『もののけ姫』の舞台になったような、
うっそうと茂った深い森がそうです。
実際に、この現場は長い間放置されていたため、
立ち枯れたアカマツ(常緑針葉樹ですが明るいところを好みます)や、
花をつけない山ツツジが目につきました。
「深い森」は長い時間をかけて成長し、
そしてまた長い時間をかけて土や水を浄化します。
きれいな水はきれいな川となり、やがて海へたどり着き、
人々に豊かな漁獲を与えてくれます。
一方、昔から人間と深くかかわってきたのが里山、
ひらたく言うと「雑木林」です。
山菜を取ったり、薪になる木材を集めたり、
また実のなる樹木を植えたり、建材となる木を育てたり…。
こちらは、人手が加わることで維持されるもので
その発祥は縄文時代にまで遡ることができるそうです。
子供のころ、放課後暗くなるまで友達と走り回って遊んだ場所が、
実は昔から人の手が入り整えられてきた環境だったとはつゆ知らず…、
現場に向かう道すがら、不法投棄されたゴミの山を見るに、
がっかりする一方、自分の身を振り返るのでした。
一ヶ月でこんなにも緑が濃くなるなんて…
こうした雑木林も、過度の伐採や、宅地化、
あるいは放置されることによって、急速に失われつつあります。
「大自然」と「人間文明」の”なぎさ”に生まれる里山、
文化や習慣が変わったとはいえ、再生・持続可能な環境が育む、
豊かな恵みを失うことは、何とも切ない気がします。
作業後のひととき、大きく深呼吸しながら、
忘れかけていた何かを思い出させてくれた一日でした。