工房担当のSのお話し。
イバケン工房で黙々と作業にいそしむのは、
宮大工を13年経験してきた職人です。
「大工さんが家具?」と言われることもありますが、
基本は同じ、「木を活かして、お客様に喜ばれるものを創る」こと。
以前どこかで、数寄屋造りの名工が語った言葉に、
「仕事の神髄は、仕事をしないこと」とありました。
極めて精緻な計算に基づき隅々まで「仕事」をしていながら、
あくまでその「仕事」を悟られないよう、「自然に」しつらえるのだそうです。
また、一本のいびつな丸太をにらみながら、
「どこに使えばこの木が活きるか」と想いを馳せる姿が印象的でした。
人の思いに合うように木をねじ伏せるのではなく、
木の持つ素性「個性」を「活かす」よう使ってこその木造です。
そのS、今日は何をしているかと工房をのぞいたら、
こんなものを造っていました。
さすが宮大工、以前はこんな模型まで、シュッと作ってしまうんです。
(社殿等で見られる『枡組み(ますぐみ)』と言います。)
これ(以下の写真)は、イバケンがこの春に発表した、
その名も『エコグリッド住宅』の構造模型。<詳しくはHPで。>
出来上がりはこんな感じです。(ひたちなか創住館に展示)
実際の住宅では、この柱はほとんどが見えなくなってしまうのですが、まさに骨子、住宅の基本構造です。
そんな柱の存在を皆様にご覧頂こうと、黙々と模型作りに精を出していました。
設計図があれば誰でも組み立てられそうですが、そこは「大工さん」、柱の製作からテキパキと、段取り良く「しごと」を進めて、あと半日ほどで上棟です。
見えないところにこそこだわる職人魂を感じて頂ければと思います。
明日はどんなものを創っているのか…、
またイバケン工房をのぞいてみましょう。