イバケンにっき


今日の工房、

何をやっているかとのぞいてみると…

またまたカンナを使って一仕事しておりました。

その名も『面取り』。

板の角の部分を削って飾りをつける工程です。

機械化がすすみ、こうした加工も機械を一回通すだけで

出来てしまう場合もありますが、

それは大量生産でのお話し。

微妙なニュアンスをつくり出す場合は

やはり手仕事になります。

 

%E5%88%87%E3%82%8A%E9%9D%A2 thumb 640x480 645 手仕事

この面取りの形を『切り面』と呼びます。

直角だった角を、”ほぼ”45°に”切って”面を形作ります。

削ってできる面の”幅”の寸法は図面に記されていますが、

実際のものではどの程度がいい感じにおさまるのか、

実は削りながら決めていきます。

 

また、面取りが交差する部分は、真っ直ぐな稜線が出来上がります。

この”真っ直ぐな”稜線…

まさに機械で加工したかのような直線に、手加工の深い味があります。

機械は均一な加工に向いています。ですが、

意外にこうしたところがぴったり合わないことが多くあります。

カンナを引きながら、最後の2~3回で、

この稜線をぴったり合わせながら、面幅を調整する作業は、

まさに緊張の一瞬です。

削りすぎれば、稜線も合わず、丁度良い面幅にもなりません。

 

この作業、単純そうに見えますが、実は、

カンナの刃の出し具合、力の加減、

全体の木目をみながらの繊細な作業です。

そして最後は”カンナひとなめ”。

こうして作り出される”直線”には、

機械には出せない、手仕事だからこその味わいがあるのです。